5年前に実家でSWAN SONGをプレイしていた時、あるいは2年前に荻窪でMUSICUS!をプレイして玄関で気絶した時以来の酒酔いが発生しているので、比較的まともな文章が書けそうだなというので書き始めています。酩酊状態のほうがちゃんとタイピングできるってど…

家庭の医学

こんにちは。 ^^ たぶん僕は14年前にいちど戻って、帰ってきたのだと思う。 微妙にかたむいたハッピーにすいこまれそうなところを這いました。 よかった~~~ 退職後2週間が経つところで、明日までに役所に行く必要があるのだけれど、 風呂には入れないしそ…

ダーク・インゲはにこりともしない女だった。

記憶力のいい人間というのはたしかにいて、それもけっこうな数の人間が多くのことを記憶しそれらをいろいろなことに役立てたり、役立てなかったりしている。 それはとてもうらやましいことである。 何かを憶えているということは、そのまま生活のくだらなさ…

すべて隣り合うものは狩りのために

魔法みたいなものなのだと思う。 放出、放出したいなア! モゾモゾ! このモゾモゾ! 最初の男、《放出男》は、そう叫んだと言われている。 * 僕が知る限り、”ふり”の流行はそのころから始まった。 人々は、多種多様な”ふり”を、様々な仕方でした。 記号的…

ある町の葬儀(あるいは、ある夢の断絶)

1 悲しみをもって 深く不明瞭な翡翠の風を町中がまとい着飾るその日、その刻、それは腹の底にまで届く爆音を皮切りにして突如始まる。 吉能はまだ気がついていない。じっと眠っているためでもあるし、豊かに広がる早朝の喚起的な夢の内で漂っているためでも…

家出したときの話

とくにおもしろいこともなかったのだけれど、ちょっと本棚が目の前にあってその時のことを少しだけ思い返していたらどうしようもなくなってしまったので、書けることだけ書く。 大学4年への進級が確定したとき、けっこう身体というか身体についてくる何もか…

倉庫番

大学を辞めることになり、大学と実家のちょうど中間あたりの町の古い木造アパートに部屋を借りた。そこはぱっとしない町だった。見慣れない私鉄が二線、町の周縁にそっと進入してはすぐさま交差し、そっと抜けていく。駅前には、何十年も以前の変に欲ばった…

※この映像はイメージムービーです。作品本編では犯罪行為の描写がありますが、犯罪を教唆するものではありません。まねをしないでください。

CARNIVAL OP 1 ゲームのオープニングのよく観返しちゃうものたち。 ・装甲悪鬼村正 装甲悪鬼村正 OP 『 MURAMASA 』 Ver.A 装甲悪鬼村正 OP 『 MURAMASA 』 Ver.B 下のVer.Bはストーリーの根幹にかかわってくるので、絶対にプレイ中にみるか、プレイした人た…

それがあります。ニコチン

9ヵ月経ちました。遍歴でも書く。・ピアニッシモ・アリア・メンソール(1mg/0.1mg)何故たばこを吸おうと思い立ったのか、何も憶えていない。おそらく9ヵ月前のその当時書いていた小説がぐちゃぐちゃになっていて、何かしなくちゃな、とご自慢の逃避を決行…

受け取りたまえ、きみの傘だ

引越しをした。荷解きだとか、家電の搬入だとか、役所への手続きだとか、すべて初めてのことなのに、それを自分がしているという感じがあまりなく、気づけばこうして、バルコニーに干された無印良品の長袖シャツとか電気温水器のなかでポタ、ポタとどこかへ…

明太子と高菜の博多風スパゲティ

最近の本です。ちゃんとやっていく2020。 『動物からの倫理学入門』伊勢田哲治 動物からの倫理学入門 作者:伊勢田 哲治 出版社/メーカー: 名古屋大学出版会 発売日: 2008/11/20 メディア: 単行本 昨年序章だけちら見してそのまま数キログラムの可燃物のした…

忘年回

この前の年の瀬のある夜のことだけれど、初めてちゃんと「忘年会」という名のついたお酒の会に顔を出してみた。……いや、初めてでもないのかもしれない。そういう、どこで何をした、という類いの記憶が幼少のころからぼんやりとしていて、ああまたボンヤリだ…

髪についた水滴を払うということ

入園時とはうって変わって、出口のほうの、入口と同様に石室みたいな灰色の部屋はしんと静まりかえっていた。機能的な面では今いるここは入口でも出口でもあるからまあ僕たちの立場からすれば出口というだけのことなのだけれど、出口というのは結局のところ…

お楽しみいただけましたか?

そこは町ではなく、遊園地だった。遠目にいくつもの陸橋が交差しているように見えたのは、まぎれもなくひとつの巨大なアトラクションだった。稼働してはいないみたいだったけれど、もしかするとこれはこれで全体の何パーセントかは動いているのかもしれなか…

当園にお越しですか?

夕陽があたってこはく色に輝いている大きな川が丘の下に見えてきて、僕はそれがとても好きだったから、あれ? また記憶海岸があるの? もしかしてさっきのやつがやっぱり寂しくなってついてきちゃったのかなあ、などと思っていると、たくさんの人々や、大き…

[断片]

「僕の呼び名はいるか様ということになったけれど」僕はいった。「きみのことはまだきみのままだな」 「はい」五〇〇番はいった。 「それに、きみに話しかけるときはきみと呼んでいるけれど」僕はいった。「心の中で呼ぶとき、ようは三人称の代名詞のときに…

少年と猫

そんなわけで、僕と五〇〇番は記憶海岸に別れをつげてまた北へと歩き出した。聞いたところ記憶海岸というのは仮の呼び名で、工事がしまいまで完了してから正式な名前を決めるつもりだったらしい。いずれにせよ「タツノオトシゴ・プロジェクト」とか「大日本…

潮時

とにかく北へと歩いていくしかないのではないだろうかと結論づけたときにはほとんど昼みたいな感じになっていた。もしかりに、まだまだ朝だ、なんて言い張ったあかつきには朝のあらゆることのみに癇癪持ちの傾向があるだれかを、結果的に泣かせてしまうかも…

天気と株価と質問

ひとまず朝食を記憶海岸から用意してそれをなんとなく食べてしまうと、頭の中にあるもっとも現実に近い部分が空っぽになってふわふわしているのがわかった。朝は人を冷静にするし、昨日までのできごとを一度リセットしようとしてやっぱりリセットしないでお…

朝、それがわたしのもとに降ってきたなら

目に光が入ってきたと思って目を開けると、僕は泣いているのだった。光のせいか涙のせいかあるいはそれ以外の何かのせいなのかわからないけれど視界がうんとぼやけて前がよく見えないから、とりあえずの対処として片手か両手かで片目か両目かをぬぐうと、五…

奇妙な夢

百人くらいの人が入れそうな広場を、坊主頭が清めている、坊主頭は草や花の飾り物をのせた盆を携えやって来て、広場の中心に置き、そうであるべき姿にととのえる、何事かを唱える、去っていく、広場はもう、しかるべき舞台になっている、外面はただの空き地…

[断片]

逸る気持ちではないけれどそういった類いの何かに後押しされてひたすら歩きつづけていたので、夜になったらどうしようとか、食物はどうしようとか、そういった忘れてはいけないことを忘れてしまっていた。気づけばもう夜に浸かっていて、しつこい空腹に襲わ…

記憶海岸

「それ」は象牙のような形をしたかと思うと、次の瞬間には百合の花を象っていた。僕はその時驚くべきことに、象牙のことを考え、百合の花の印象を意識していたのだった。すでに日は落ちて、月明かりがきらきらと水面を揺らしていた。なかなか神秘的で魅力的…

天地開闢の瞬間よりつづきし正統的で記号的な

不意に、車は無事だろうかという気持ちが芽生えていた。屋根や囲いのないことはもとより、駐車のための場所でもないところに自分の車を置いてきたのは初めてだったから、すこし不安だった。ただ、買い換えたばかりの新車で大して思い出があったり思い入れが…

ペルシャンブルーのすばらしい景色

「そういや、きみはどうしてあんな辺鄙なところに取り残されているんだい」 ふと気がかりになって、右後方を無言でついてくる五〇〇番に訊いてみた。 「それがあなたの命令だからです、いるか様」 「命令? いるか様の?」 「はい。わたしはあの地点に留まり…

[断片]

「弟を探しているんだ」僕はいった。 五〇〇番はきまって僕の右側後方を歩いていた。 「いや、探しているというほど切羽つまった感じでもないな」僕はいった。 北へ向かう道だけがぞっとするほど先までつづいていた。 「僕は、弟に会いに向かっているんだ」…

AI棋士対パブロ・ピカソ

「つまり、きみの知っているいるか様が持つ特徴をそっくりそのまま模した容姿を僕がしていて、だから僕がいるか様である、ということかな?」 とりあえず簡潔に聞いた話を整理してみると、そういうことになっていた。 「そうであるといえます」五〇〇番はい…

間抜けな話

歩いても歩いても、なかなか五〇〇番のいう工事の現場には行き当たらなかった。これほどまで長い一本道なので、工事をするさいはひとつ手前の分かれ道のところを封鎖するという当たり前のことも、その理由とか必要性とかがそこなわれてしまってしまっている…

通行止め

「通行止めです」 信号と電柱と電線しかなかったのに、いつの間にかもう信号しかなくなってしまったところを車で走っていたのだった。信号は機能していなかった、電柱も電線もないし、したがって電気が通じていないのだから当然といえば当然だが、もしかする…

ダンボール詩人の死(地下の話)

『ダンボール詩人』はながながとおくびを吐き出してから、『バドワイザー』の三五〇ミリリットル缶のプルタブを軽快にあけて、そのままじかにごくごくと飲んだ。 『おれ』も『バドワイザー』三五〇ミリリットル缶をあけて、くすんだライトグリーンの角ばった…