2018-10-07から1日間の記事一覧
「そういや、きみはどうしてあんな辺鄙なところに取り残されているんだい」 ふと気がかりになって、右後方を無言でついてくる五〇〇番に訊いてみた。 「それがあなたの命令だからです、いるか様」 「命令? いるか様の?」 「はい。わたしはあの地点に留まり…
「弟を探しているんだ」僕はいった。 五〇〇番はきまって僕の右側後方を歩いていた。 「いや、探しているというほど切羽つまった感じでもないな」僕はいった。 北へ向かう道だけがぞっとするほど先までつづいていた。 「僕は、弟に会いに向かっているんだ」…
「つまり、きみの知っているいるか様が持つ特徴をそっくりそのまま模した容姿を僕がしていて、だから僕がいるか様である、ということかな?」 とりあえず簡潔に聞いた話を整理してみると、そういうことになっていた。 「そうであるといえます」五〇〇番はい…
歩いても歩いても、なかなか五〇〇番のいう工事の現場には行き当たらなかった。これほどまで長い一本道なので、工事をするさいはひとつ手前の分かれ道のところを封鎖するという当たり前のことも、その理由とか必要性とかがそこなわれてしまってしまっている…
「通行止めです」 信号と電柱と電線しかなかったのに、いつの間にかもう信号しかなくなってしまったところを車で走っていたのだった。信号は機能していなかった、電柱も電線もないし、したがって電気が通じていないのだから当然といえば当然だが、もしかする…