それがあります。ニコチン


9ヵ月経ちました。遍歴でも書く。



ピアニッシモ・アリア・メンソール(1mg/0.1mg)

何故たばこを吸おうと思い立ったのか、何も憶えていない。おそらく9ヵ月前のその当時書いていた小説がぐちゃぐちゃになっていて、何かしなくちゃな、とご自慢の逃避を決行した、というだけだったような気がする。
正直、味も香りもなかった。とにかく吸いやすいやつを調べていたら、これになっていた。近所の公園の遊具に隠れて、おそるおそるライター(すでに持っていた。後述のピース・スーパーライトを買った時にあわせて買った)で火をつけた。まだ元気のあった目の見えない犬が、花壇の縁に突っ込もうとぐんぐんリードを引っ張っていた。ミントの匂いだけが、ゆらゆらと消えた。

・キャスター・1(1mg/0.1mg)

甘いと評判のキャスター・シリーズ。どうしてか、おれは甘いたばこが好きなのだ、という直観があった。味はよくわからなかった。

・キャスター・3(3mg/0.3mg)

気づきがあった。技術によってがちがちにニコチン・タール値がおさえられたものって、じつは上級者向けなのでは? 数値が低いからって、入門ではないのでは?
3mgになった。すこしだけ味がわかった。このころ、鼻先の感じがキャンプファイアー、とひたすらキャッキャしてた気がする。

・キャスター・5(5mg/0.4mg)

3とあまり違いがわからなかった。あまり憶えてない。夜中に散歩に出て、2本吸いながら海の近くまで行って、帰った。そういうことをしていた気がする。そういうルーチンのなかで書きあげた短編は、2ヵ月経ってボツになった。

・ピース・スーパーライト(6mg/0.5mg)

じつは二十歳の誕生日の翌々日くらいに町のたばこ屋さんで買って、駅のベッカーズポール・オースター『幽霊たち』を読みながら一本吸って、あ、おれたばこ無理だ、となったもの。当時はいろいろあって、いろいろ気にしなくちゃならないことがあって、気にしすぎて、勝手に体調を壊しただけだったのだろうな。
キャスターとはまた違った甘い芳醇さがあって、吸いはじめはうまいとなるのだけど、飽きる。それになんか吸いにくさがあったような。
二十歳になって最初に買ったように、まああこがれみたいなものがある、ピース。

・ボヘーム・シガー・NO.6(6mg/0.6mg)

第一のゴール。とにかくうまいしちょうどよかった。
パッケージもしゃれているし、何パーセントか葉巻の葉っぱを使用しているみたいで、あ~~~なんか高級では~~~????となっていた。しばらくずっとこれだけでやっていた。

だが、飽きはくるのである。

ナチュラアメリカン・スピリット

最初の分水嶺
ボヘームと並行して、朝はこっち、食後はこっち、夜は…………なんてやっていた。このたばこはとにかく単純で、長くて素朴で気負わない、そういうたばこなんですね。
3ミリはだいぶ吸いづらい。6ミリにし、車で天気の子を観に行った帰りに寄ったコンビニで間違えて8ミリを買い(パッケージが橙と黄色でなんとなく似ているため)、数箱のあいだ充実した毎日をすごした。

・プエブロ・ナチュラル・6(6mg/0.6mg)

アメスピと同じく無添加のたばこ。
すっかり無添加にぞっこんになっていたおれは、そのパッケージの愛らしさから吸わずにはいられなかった。吸ってみた。

無個性。以上。

ホープスーパーライト(6mg/0.5mg)

病院の待ち時間をつぶしていたら、そういやホープってどんな感じなんだろうとなり、いきつけになっていた大船駅の喫煙所で開封した。短い。熱い。ションベンくせえ。

ナチュラアメリカン・スピリット・ぺリック(9mg/1.2mg)

第二のゴール。
あるVtuberの隠れキャラみたいな巨大感情女が黒のアメスピを吸っているということで、アメスピならこれ!という評価も少なくなかったし、ちょっとキツめだが吸ってみるか、となったのが。
一本目。塩じゃん。
二本目。ん、塩では、ない……?
三本目。うめ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~!!!!!

言葉はいらなくなった。

マールボロ(9mg/1.2mg)

数ヵ月はぺリックを吸い続けていた。不満なんてこれっぽっちもなかった。しかし、人間というのは不思議なもので、満たされていても未知に対する欲求は衰えるばかりか、むくむくと育っていくのですね。
というわけで、マルボロです。ザ・たばこという感じで、ふつうに好きです。燃えるのがはやいのと、味にムラがある(個人の感想です)のが、常飲にならないポイントかもしれない。

ラッキーストライク(11mg/1mg)

第三のゴールのようなもの。
クソ寒い雪降るなか、川沿いの死んだ自販機ではじめて買った。ダウンのフードを目深にかぶりすぎてなんかもういろいろとぐちゃぐちゃになりながら吸って辛すぎて、第一印象はよくなかった。
このたばこを語るのは難しい。辛いんだか甘いんだか。軽いんだか重いんだか。イッツ・トーステッド、というように、ほのかにトーストのような香ばしさが奥にひそみ、喉の奥で量の多い煙がずしんと居を据える。
ちょうど引っ越してきたときの常飲だったのだが、部屋のなかで吸うと(これまでは実家だったので、毎回外に出て吸っていた)、ちょっとキツい。今は離れています。

・ピース・ライト(10mg/1mg)

甘くてうまい。だが、飽きる。うすい。そして何故だか吸いづらい。なんなんだピース。
やはりピースは本家(?)のすごいやつじゃないと本領発揮とはならないのか。

・セブンスター(14mg/1.2mg)

教養として。この甘さ、苦手でしかない。

・アークローヤル(18mg/1.2mg)

永遠のヒロイン。
マジで甘くてうまい。マジで好き。どこにも売ってない。買えない。どこに売ってんだよ。

・ハイライト(17mg/1.4mg)

教養として。さわやかに重い。味自体は嫌いではないが、なんか肺にくる。





という感じで、いまだこれ!というものが見つかっておりません。
500円オーバーだとちょっと厳しくなってきているので、460以下くらいで自分にあうものを見つけていきたいですね。

もうじき煙草じたいにも飽きそうな気がしている。

 

 

 2019.5~2020.2

 

 

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